コミュニケーション ロボット

コミュニケーションの継続を目的とした
ロボット-エージェント統合システムの開発(2021年度)

近年,物理的なロボットと仮想的なVirtual Agent(以下,VA)の相互作用に着目した研究が行われています.物理的なロボットと画面上にデジタル表示されたVAでは,ロボットの方が身体性の利点によって親しみやすいと示されています.また,ロボットには,人が繰り返し接触することでポジティブな評価が上昇していく親近性効果がみられます.


しかし,ロボットの多くは物理的な行動範囲の制限により,コミュニケーションが継続できないため,親近感が上がらないという問題が存在します .一方,VAは,ロボットよりも感情体験が劣るが,携帯性に優れており,空間的制約や時間的制約にとらわれず,コミュニケーションを行うことが可能です.ロボットと同じ存在だと認識されるVAと物理的なロボットを場面によって使い分けることで,ロボットの物理的な制限を解消し,ロボットの親しみやすさや親近感が向上することが期待できます.


そこで,本研究では,ロボットにVAを利用することで,コミュニケーションの継続を行うことにより,ロボットに対する親近感が上昇することを目的としてロボット-エージェント統合システムの開発を行いました.

2021年度の研究では,実際に人の親近感が上昇するかを検証する前に,統合システムの開発を行いました.ロボット-エージェント統合システムはユーザの増田研究室を紹介する目的で動作するシナリオを用意しました.ユーザを認識し,ユーザの対していくつかの質問を行うことで,ユーザに対応したシナリオで動作することが可能です.また,ロボットとバーチャルエージェントの異なるデバイス間でも,シナリオを共有することで,デバイスが切り替わっても継続してコミュニケーションを行うことが可能となりました.

今後は,その場の状態や雰囲気を共有し,コミュニケーションの継続性を高めていくことを目標とし,ロボット-エージェント統合システムを開発していきます.